「看護師として英語を学びたいけれど、何から始めればいいかわからない」という声をよく耳にします。一般的な英会話とは違い、医療現場で使う英語には専門用語や独特の表現が多く含まれます。闇雲に勉強するよりも、看護師の仕事に直結する英語から優先的に学ぶのが効率的です。
この記事では、看護英語を効果的に身につけるための勉強法と、キャリアアップに役立つ医療英語の資格を紹介します。日本国内でのスキルアップにも、海外での就労準備にも活用できる内容をまとめました。

看護英語とは?一般英語との違い
看護英語とは、医療現場で看護師が使用する専門的な英語表現のことです。一般的な日常英会話やビジネス英語とは異なり、以下のような特徴があります。
- 解剖学や疾患名に関する専門用語が多い(例:hypertension=高血圧、diabetes=糖尿病)
- 患者への説明では平易な言い回しが求められる(例:blood pressureはhigh blood pressureとも表現する)
- 正確さが命に関わるため、曖昧な表現は避ける必要がある
- バイタルサイン測定や投薬などの定型フレーズが多い
専門用語と患者向けのわかりやすい表現の両方を使い分けられることが、看護英語の習得ゴールです。
看護英語の効果的な勉強法5選
1. 日常業務のフレーズから覚える
まずは毎日の看護業務で使うフレーズを英語に置き換えてみましょう。以下のような基本フレーズを覚えるだけでも、外国人患者への対応力が大きく向上します。
- 「体温を測りますね」→ “I’m going to take your temperature.”
- 「痛みはどこですか?」→ “Where does it hurt?”
- 「アレルギーはありますか?」→ “Do you have any allergies?”
- 「お薬の時間です」→ “It’s time for your medication.”
- 「深呼吸してください」→ “Please take a deep breath.”
この手のフレーズは場面ごとにまとまっている本が1冊あると探しやすく、勤務前にさっと確認する使い方ができます。
2. 解剖学用語を英語で覚える
体の部位や臓器の英語名は看護英語の土台です。解剖図を見ながら英語名を覚える方法が記憶に残りやすいとされています。
たとえば、heart(心臓)、lungs(肺)、liver(肝臓)、kidney(腎臓)といった基本的な臓器から始めて、徐々に症状や疾患名に範囲を広げていきましょう。
3. 医療英語の教材・テキストを活用する
一般的な英語教材ではなく、看護や医療に特化した教材を選ぶことがポイントです。おすすめの教材としては以下があります。
- 「看護師のための医療英会話」系のテキスト
- IPEC(国際看護英語教育協会)の公式教材
- HLCA(医療英語オンラインスクール)の看護師向けコース
- 海外の看護テキスト(Saunders、Mosby等)の英語版
4. オンライン英会話で実践練習する
インプットだけでなくアウトプットの練習が英語上達の鍵です。医療英語に対応したオンライン英会話サービスを利用して、実際に声に出して練習しましょう。
HLCAのように医療従事者向けの専門コースを持つスクールでは、看護師経験のある講師と実務に近いロールプレイができます。
5. 英語の医療論文やニュースを読む
リーディング力を鍛えるには、英語の医療論文やニュースサイトを定期的に読む習慣をつけるのが効果的です。PubMedやMedscapeなど、無料でアクセスできるサイトも豊富にあります。
最初はアブストラクト(要約)だけを読むところから始めて、徐々に全文に挑戦していくのがおすすめです。

看護師におすすめの医療英語資格
英語力を客観的に証明できる資格を取得しておくと、転職やキャリアアップに有利です。看護師に特におすすめの医療英語資格を紹介します。
IPEC看護英語試験
IPEC(国際看護英語教育協会)が実施する看護師のための英語試験です。カルテ記録、患者対応、医療チーム内のコミュニケーションなど、看護の実務に直結した英語力を測ります。
試験はオンラインで受験でき、結果はスコアで表示されます。看護英語学習の成果を測る指標として活用しやすい試験です。
日本医学英語検定(医英検)
日本医学英語教育学会が主催する検定試験です。4級(基礎級)から1級(エキスパート級)まで4段階あり、看護師が目指すなら応用級(3級)がおすすめです。
3級のレベルは「英語で医療に従事できる能力」とされており、英語を使って看護業務を行いたい方にとって適切な目標ラインです。
CBMS(国際医療英語認定試験)
日本の医療福祉系人材に向けた英語認定試験で、オンラインで受験できるのが特徴です。教本や模擬問題が提供されているため、独学でも対策しやすく、医療英語学習の入門として取り組みやすい試験です。
OET(Occupational English Test)
海外での看護師免許取得を目指す方に強くおすすめしたいのがOETです。イギリス、オーストラリア、ニュージーランドなどで看護師免許の申請に使える国際試験で、医療現場のリアルなシナリオに基づいた問題が出題されます。
リーディング、リスニング、ライティング、スピーキングの4技能すべてが評価対象で、看護師向けの問題が用意されている点が大きな特徴です。出題形式に癖があるため、専用のテキストで形式に慣れてから受験する方が多いです。
- 国内キャリア重視:IPEC看護英語試験 or 日本医学英語検定がおすすめ
- 入門・基礎固め:CBMS(オンラインで手軽に受験可能)
- 海外就労を目指す:OETまたはIELTSが必要
学習を継続するためのコツ
英語学習は継続が命です。忙しい看護師が学習を続けるためのコツを紹介します。
目標を明確にする
「なぜ英語を学ぶのか」という目的が曖昧だと、モチベーションが続きません。「外国人患者に英語で対応できるようになる」「半年後にIPEC看護英語試験を受ける」など、具体的な目標を設定しましょう。
短い学習時間を毎日続ける
1日15〜30分でも構いません。毎日英語に触れる習慣をつけることが、長期的に見て最も効果的な学習法です。休日にまとめて勉強するよりも、毎日少しずつの方が記憶に定着しやすいことが研究でも示されています。
仲間を見つける
同じ目標を持つ看護師仲間と一緒に勉強すると、モチベーションを保ちやすくなります。SNSのコミュニティやオンライン学習グループに参加するのもよい方法です。

看護英語の学習ロードマップ(レベル別)
英語力のレベルに応じた学習ロードマップを紹介します。自分の現在地を把握して、段階的にステップアップしていきましょう。
初級者(TOEIC 400点以下):まず基礎英語を固める
中学英語の文法と基本的な日常会話を復習するところから始めます。NHKの語学講座やアプリ(Duolingoなど)で毎日10〜15分の学習を習慣化しましょう。医療英語に入る前の土台づくりが大切です。
中級者(TOEIC 500〜700点):看護英語フレーズの習得へ
基本的な英語力がついたら、看護業務で使うフレーズを集中的に覚えましょう。IPECの教材やCBMS対策テキストを活用し、実践的な表現を身につけます。オンライン英会話で医療シーンのロールプレイを取り入れるとさらに効果的です。
上級者(TOEIC 700点以上):専門資格・海外準備へ
OETやIELTSの対策に移行し、海外での看護師免許取得を視野に入れた学習を進めます。英語の医療論文を読む習慣もつけていきましょう。このレベルでは日本医学英語検定の3級(応用級)への挑戦もおすすめです。論文を読み進めるときは、医学英和辞典が手元にあると調べ直す手間が減ります。
よくある質問(Q&A)
Q. 英語がまったくの初心者でも看護英語を学べますか?
はい、学べます。ただし、中学英語レベルの基礎力がないと医療英語の学習は難しいため、まずは基本的な文法と日常会話を一通り復習してから看護英語に進むのがおすすめです。
Q. 看護英語の資格は転職に有利ですか?
英語力を活かせる職場への転職では大きなアドバンテージになります。特にIPEC看護英語試験や医英検は、看護×英語の専門性を証明できるため、一般的なTOEICスコアとの差別化が可能です。
Q. 独学でも看護英語は身につきますか?
インプットは独学でも十分に可能です。ただし、スピーキングについてはオンライン英会話などでアウトプットの機会を確保するのが望ましいです。読む・聞くは独学、話す・書くはサービスを活用するのがバランスの良い方法です。
Q. 学習にかかる費用の目安は?
独学でテキストを購入する場合は数千円程度から始められます。オンライン英会話を利用する場合は月5,000〜15,000円程度、資格試験の受験料は試験によって5,000〜30,000円程度です。
Q. 通勤中にできる看護英語の勉強法はありますか?
ポッドキャストや音声教材を活用するのがおすすめです。英語の医療系ポッドキャストを聴きながら通勤すれば、リスニング力と医療用語の両方を鍛えられます。また、単語カードアプリ(Ankiなど)を使って、電車の中で医療英語の単語を覚えるのも効果的な方法です。
Q. 看護英語を学んだ先のキャリアにはどんな選択肢がありますか?
国内では国際病院の看護師、外資系企業の産業看護師、医療通訳、CRC(治験コーディネーター)などの選択肢があります。海外では各国の看護師免許を取得してRNとして働く道もありますし、国際的なNGOで医療支援活動に参加する道も開けます。英語力は看護師のキャリアの幅を大きく広げてくれます。
看護英語を身につけることで、国内外でのキャリアの選択肢は大きく広がります。まずは基本フレーズの学習から一歩を踏み出してみましょう。



