「夜勤明けにナースシューズがきつくて入らない」「ふくらはぎがパンパンに張って痛い」——看護師の足のむくみは、立ち仕事が長い医療現場では避けて通れない悩みです。
足のむくみは見た目だけでなく、疲労感やだるさ、痛みを引き起こし、仕事のパフォーマンスにも影響します。この記事では、看護師の足のむくみの原因を整理し、勤務中にも取り入れやすい対策と予防法を紹介します。

看護師の足がむくみやすい原因
長時間の立ち仕事による血行不良
看護師の勤務は立ちっぱなしの時間が長く、重力の影響で血液やリンパ液が足に溜まりやすくなります。ふくらはぎは「第二の心臓」と呼ばれ、筋肉の収縮で血液を心臓に送り返す役割がありますが、同じ姿勢のまま立ち続けるとこのポンプ機能が十分に働かず、むくみが発生します。
夜勤による自律神経の乱れ
夜勤で生活リズムが不規則になると自律神経のバランスが崩れ、体内の水分調整がうまくいかなくなることがあります。夜勤明けに足がパンパンになるのは、このメカニズムが一因です。
水分・塩分の偏り
忙しくて水分補給のタイミングを逃したり、反対に夜勤中にカップ麺やお菓子で塩分を摂りすぎたりすると、体内の水分バランスが乱れてむくみにつながります。
筋力の低下
立ち仕事は多いものの、看護業務は意外にも大きな歩行量に比べて「足を鍛える」動きは少ないです。ふくらはぎの筋力が落ちると血液を押し上げる力が弱まり、むくみやすい体質になります。
冷えの影響
病院内はエアコンが効いていて足元が冷えやすい環境です。冷えると血管が収縮して血行が悪くなり、むくみが悪化します。特に冬場はナースステーションの足元が冷え込むため、冷え対策を兼ねたむくみケアが重要になります。
更衣室や仮眠室で羽織るものとは別に、足首まわりを覆えるレッグウォーマーを1枚ロッカーに入れておく看護師もいます。
ホルモンバランスの変動
女性は生理周期によるホルモンバランスの変動でもむくみやすくなります。特に月経前はプロゲステロン(黄体ホルモン)の影響で体に水分を溜め込みやすく、普段よりむくみが強くなる方が多いです。月経前後は特に意識してむくみケアを行いましょう。
勤務中にできるむくみ対策
着圧ソックスを履く
看護師のむくみ対策でもっとも手軽で効果的なのが着圧ソックスです。足首からふくらはぎにかけて段階的に圧をかけることで、血液やリンパ液の流れをサポートします。
- 圧力は20〜30hPa程度のものが業務中に使いやすい
- ハイソックス丈がふくらはぎ全体をカバーできておすすめ
- 医療用の弾性ストッキングもあるが、日常使いにはナース向け着圧ソックスで十分
- 夜勤中は特に効果を感じやすい
休憩中のふくらはぎマッサージ
短い休憩時間でも、ふくらはぎを下から上へさするだけでむくみが軽減します。
- 足首からひざ裏に向かってさするように揉む(各足1分程度)
- 足首をグルグル回す(左右10回ずつ)
- つま先を上げ下げする「カーフレイズ」を10回繰り返す
足を上げる時間をつくる
休憩室で横になれるなら、足の下にクッションや枕を入れて心臓より高い位置に上げると、溜まった血液やリンパ液が戻りやすくなります。10〜15分でも効果があります。
高さが安定しないと落ち着かないので、足を乗せる用のクッションを使っている人もいます。自宅での寝る前のケアにも使い回せます。
こまめな水分補給
むくみを気にして水分を控える方がいますが、これは逆効果です。水分が不足すると体が水分を溜め込もうとして、かえってむくみやすくなります。1時間にコップ半分程度を目安に、こまめに水分を摂るようにしましょう。

勤務後のセルフケア
入浴でじっくり温める
シャワーだけで済ませず、38〜40度のぬるめのお湯に15〜20分浸かりましょう。水圧による全身のマッサージ効果で血行が促進され、入浴中や入浴後の温まった状態でのマッサージがさらに効果的です。
湯船に入るのが面倒になりがちな夜勤明けは、好みの香りの炭酸入浴剤をストックしておくと入浴のハードルが下がります。
足湯を活用する
湯船に浸かる時間がないときは、バケツにお湯を張って足湯をするだけでも違います。くるぶしの上あたりまでお湯に浸ければ、足先からふくらはぎまで温まって血行が改善します。お湯にエプソムソルト(硫酸マグネシウム)を入れると筋肉の緊張がほぐれやすくなるとされています。足湯の時間は15〜20分が目安です。
寝るときの足上げ
就寝時に足の下にバスタオルを丸めて置き、足を少し高くして寝ると、寝ている間にむくみが解消されやすくなります。ただし高すぎると腰に負担がかかるため、10〜15cm程度を目安にしてください。
ストレッチとエクササイズ
むくみ予防のために習慣にしたいエクササイズを紹介します。
- カーフレイズ:かかとの上げ下げを20回×3セット。ふくらはぎのポンプ機能を強化
- 足首回し:大きく円を描くように左右10回ずつ。関節の柔軟性と血行を改善
- スクワット:膝がつま先より前に出ないよう注意して15回×2セット。下半身全体の血行促進
- ウォーキング:帰宅時に一駅分歩くなど、負担にならない範囲で。ふくらはぎの筋肉が動くとポンプ機能が活性化
運動後にふくらはぎの張りが気になるときは、フォームローラーで転がすように緩めておくと翌朝の重さが違うという声もあります。
食事からのむくみ対策
カリウムを意識して摂る
カリウムには体内の余分なナトリウム(塩分)を排出する働きがあり、むくみ対策に役立ちます。バナナ、アボカド、ほうれん草、さつまいも、トマトなどに多く含まれます。
塩分を控えめにする
夜勤中のインスタント食品やスナック菓子は塩分が高く、むくみを助長します。どうしても食べたいときは量を控えめにし、カリウムが豊富な食材と組み合わせるようにしましょう。
たんぱく質を十分に摂る
血液中のたんぱく質(アルブミン)が不足すると、血管から水分が漏れ出てむくみの原因になります。肉、魚、卵、大豆製品などをバランスよく摂ることが大切です。

むくみが取れないときは病院へ
セルフケアを続けてもむくみが改善しない場合は、以下の疾患が隠れている可能性があるため、医療機関を受診してください。
- 下肢静脈瘤:血管がボコボコと浮き出る、片足だけむくむ
- 深部静脈血栓症(DVT):片足の急な腫れ、痛み、赤み
- 甲状腺機能低下症:全身のむくみ、倦怠感、体重増加
- 心不全・腎不全:息切れや尿量の変化を伴うむくみ
特に片足だけ急にむくんで痛みがある場合は深部静脈血栓症の可能性があり、早急な対応が必要です。看護師として知識はあるはずですが、自分のこととなると見落としがちなので注意しましょう。
夜勤とむくみの深い関係
夜勤はむくみを悪化させやすい勤務形態です。16時間以上の二交代夜勤では、長時間立ちっぱなしの状態が続くうえ、深夜帯は交感神経が優位になって血管が収縮し、血流が悪くなります。
夜勤中のむくみ対策として特に意識したいのは以下の点です。
- 仮眠時に足を上げる:短い仮眠でも足を心臓より高い位置に上げるだけでむくみの進行を抑えられる
- 勤務前に着圧ソックスを履いておく:むくんでからでは履きにくくなるため、勤務開始前から着用するのがコツ
- 夜食の塩分を控える:深夜のカップ麺やスナック菓子は塩分過多になりやすく、翌日のむくみを悪化させる
- 夜勤明けは湯船に浸かる:帰宅後にシャワーで済ませず、入浴することで水圧と温熱効果で足の血流が回復する
夜勤の頻度が多い方は、むくみが慢性化しないよう日常的なケアを習慣にしておくことが大切です。
自分でマッサージする気力が残っていない日は、座ったまま使えるフットマッサージャーに任せてしまうという選択肢もあります。
Q&Aコーナー
Q. 着圧ソックスは日勤でも夜勤でも使っていい?
どちらの勤務でも使えます。特に夜勤は勤務時間が長く、むくみがひどくなりやすいため、夜勤時には積極的に使うのがおすすめです。洗い替え用に2〜3足持っておくと便利です。
Q. むくみにサプリメントは効果がある?
カリウムやビタミンB群のサプリメントを取り入れている看護師もいますが、サプリメントだけに頼るのではなく、食事や運動、着圧ソックスなどの対策と組み合わせるのが賢い方法です。サプリメントの摂取については、かかりつけ医に相談してから始めると安心です。
Q. 利尿作用のあるお茶を飲めばむくみは取れる?
どくだみ茶やとうもろこしのひげ茶などに利尿作用があるとされていますが、飲みすぎるとかえって脱水になる可能性があります。適度な量を普段の水分補給として取り入れる程度にしておきましょう。

診療科別のむくみ事情
勤務する診療科によっても、むくみの程度は変わってきます。
- 手術室(オペ室):長時間の立ちっぱなしが続くため、特にむくみがひどくなりやすい。着圧ソックスは必須レベル
- 外来:座り作業と立ち作業が適度に交互にあるため、比較的むくみにくい
- ICU・救急:動き回ることが多いのでポンプ機能が働きやすいが、長時間勤務の影響でむくむ
- 訪問看護:移動で歩く機会が多く、ふくらはぎの筋肉が使われるためむくみにくい傾向
- 病棟(夜勤あり):16時間以上の夜勤ではむくみが顕著になる。仮眠時の足上げが効果的
今の職場でむくみがひどい場合は、働き方の見直しも選択肢の一つです。
まとめ
看護師の足のむくみは、長時間の立ち仕事、夜勤による自律神経の乱れ、水分・塩分のバランスの偏り、冷えなどが原因で起こります。対策としては着圧ソックスの着用、休憩中のマッサージ、こまめな水分補給が手軽で効果的です。
勤務後は入浴でしっかり温めたり、足を上げて寝たりすることで翌日に持ち越さないケアを心がけましょう。食事面ではカリウムの多い食材を意識して摂ることも有効です。セルフケアで改善しない場合は、下肢静脈瘤などの病気の可能性もあるため、ためらわずに早めに医療機関を受診してください。



