転職活動で多くの方がつまずくのが「志望動機」の書き方ではないでしょうか。「何を書けばいいかわからない」「ありきたりな内容になってしまう」「本音と建前のバランスが難しい」といった悩みを抱えている方は少なくありません。
志望動機は、採用担当者が「この人はうちで長く働いてくれそうか」「本気で入職したいのか」を判断する重要な材料です。ここを適当に済ませてしまうと、書類選考の通過率が大きく下がってしまいます。
この記事では、転職時の志望動機の書き方の基本ルールから、シチュエーション別の例文まで詳しく紹介していきます。そのまま使えるテンプレートも掲載しているので、ぜひ参考にしてください。

志望動機の基本構成
説得力のある志望動機を書くためには、基本的な構成を押さえておくことが大切です。以下の3つの要素を順番に盛り込むと、まとまりのある文章になります。
- 転職を決めた理由:なぜ今の職場から移ろうと思ったのか
- 応募先を選んだ理由:なぜこの施設でなければならないのか
- 入職後に貢献できること:自分の経験やスキルをどう活かせるか
この3つの要素がすべて含まれていることで、「転職の必然性」「志望先への熱意」「即戦力としての期待」を同時にアピールできます。どれか一つでも欠けると、説得力が弱くなってしまうため注意しましょう。
志望動機を書くときの5つのルール
1. ネガティブな転職理由をポジティブに言い換える
「人間関係が悪かった」「給料が低かった」「残業が多かった」など、本音の転職理由がネガティブなケースは多いものです。しかし、志望動機に前職の不満をそのまま書くのは避けるべきです。
ネガティブな理由は、ポジティブな表現に言い換えましょう。
| 本音(NG) | 言い換え(OK) |
|---|---|
| 人間関係が悪い | チームワークを重視した環境で働きたい |
| 給料が低い | スキルに見合った評価を受けられる環境で成長したい |
| 残業が多すぎる | ワークライフバランスを整え、より質の高いケアを提供したい |
| 教育体制が不十分 | より専門的なスキルを磨ける環境でキャリアアップしたい |
2. 応募先だけに当てはまる理由を入れる
「地域に貢献したい」「患者さんに寄り添いたい」といった一般的な表現だけでは、どの施設にも使い回せる志望動機になってしまいます。応募先の理念、特色、力を入れている診療科、教育制度など、その施設ならではの要素を必ず盛り込みましょう。
応募先のホームページや求人票、パンフレットを事前に調べて、具体的な情報を志望動機に反映させるのがコツです。
3. 自分の経験と結びつける
「貴院の○○に魅力を感じました」だけでは一方的なラブレターで終わってしまいます。自分のこれまでの経験やスキルが、応募先でどう活かせるのかを具体的に伝えることが大切です。
4. 具体的なエピソードを交える
「患者さんに寄り添うケアを心がけていました」という抽象的な表現よりも、「急性期病棟で5年間、術後患者の回復を支援する中で、患者一人ひとりの不安に向き合う重要性を学びました」という具体的なエピソードの方が、はるかに説得力があります。
5. 文字数は200〜400字程度を目安に
短すぎると熱意が伝わらず、長すぎると要点がぼやけます。履歴書の志望動機欄は200〜400字程度が適切です。伝えたいことを絞り込み、簡潔にまとめましょう。

パターン別 志望動機の例文
ここからは、よくある転職パターン別に具体的な例文を紹介していきます。自分の状況に近いものを参考にして、自分の言葉にアレンジして活用してください。
例文1:急性期病院から慢性期病院への転職
急性期病棟で5年間、外科患者の術後管理を中心に経験を積んでまいりました。多くの患者さんと関わる中で、退院後の療養生活をより長期的にサポートしたいという思いが強くなりました。貴院は慢性期医療に力を入れており、患者さん一人ひとりに時間をかけた丁寧なケアを実践されている点に深く共感いたしました。急性期で培ったアセスメント力や急変対応のスキルを活かしつつ、患者さんの生活の質を高めるケアに貢献したいと考え、志望いたしました。
例文2:総合病院からクリニックへの転職
総合病院の内科病棟で6年間勤務し、幅広い疾患の患者さんへの対応を経験してまいりました。日々の業務の中で、地域の方々が気軽に受診できる身近な医療の重要性を実感するようになりました。貴院は地域のかかりつけ医として、予防医療から生活習慣病の管理まで幅広く対応されており、患者さんとの長期的な信頼関係を大切にされている点に魅力を感じました。病棟での経験を活かし、患者さんの健康管理を継続的にサポートしていきたいと考えております。
例文3:病院から訪問看護ステーションへの転職
一般病棟で7年間の臨床経験を経て、患者さんが住み慣れた自宅で安心して生活を続けられるよう支援したいという思いが強くなりました。貴ステーションは、多職種連携を重視した在宅ケアを実践されており、利用者さんとご家族の意向に寄り添った支援を行っている点に共感いたしました。病棟で培ったフィジカルアセスメントのスキルや、退院支援に携わった経験を活かし、在宅療養を必要とする方々の生活を支えていきたいと考え、志望いたしました。
例文4:ブランクからの復職
出産・育児のため3年間のブランクがありますが、子育てが一段落したことを機に、再び臨床の現場で力を発揮したいと考えております。貴院は復職支援プログラムを導入されており、ブランクのあるスタッフにも段階的な教育を行っている点に安心感を覚えました。以前の職場では小児科で4年間の経験があり、子どもとそのご家族への対応に自信があります。ブランク期間中も学習を続けてまいりましたので、早期に戦力として貢献できるよう努めてまいります。

例文5:美容クリニックへの転職
一般病院の外来で3年間勤務する中で、患者さんの「見た目の悩み」が心理面にも大きく影響することを実感し、美容医療に興味を持つようになりました。貴院は医療レーザーや美容注射など幅広い施術を提供されており、カウンセリングにも力を入れていると伺いました。外来での接遇経験やコミュニケーションスキルを活かし、患者さんが安心して施術を受けられる環境づくりに貢献したいと考えております。
例文6:夜勤なしの職場への転職
急性期病棟で8年間の経験を積んでまいりましたが、ワークライフバランスを見直し、日勤帯で専門性を高めたいと考えるようになりました。貴院の外来部門は専門外来を複数展開されており、糖尿病療養指導にも注力されていると拝見しました。病棟での経験を通じて糖尿病患者の管理に携わる機会が多く、この分野での知見を深めたいと考えておりましたので、貴院の外来で経験を活かしながら専門性を磨きたいと思い、志望いたしました。
志望動機のNG例とその改善策
よくある失敗パターンと改善策を紹介します。
NG例1:前職の不満だけを書いている
「前の職場は残業が多く、人間関係も悪かったため転職を決意しました。」
→ 改善策:前職の不満ではなく、「今後どうしたいか」を中心に書きましょう。「より効率的な業務環境で、一人ひとりの患者さんに丁寧に向き合うケアを実践したいと考えています。」
NG例2:どの施設にも当てはまる内容
「患者さんに寄り添い、地域に貢献できる医療を提供したいです。」
→ 改善策:応募先の具体的な特徴を入れましょう。「貴院が力を入れている在宅療養支援の取り組みに共感し、患者さんが住み慣れた地域で安心して暮らせるよう支援したいと考えています。」
NG例3:待遇面だけを理由にしている
「給与が高く、休みが多いため志望しました。」
→ 改善策:待遇面を理由にするのは避けましょう。仮に待遇が決め手であっても、志望動機では「仕事内容」「理念への共感」「キャリアプラン」を前面に出すのが鉄則です。
- 前職の悪口・不満
- 給与や休日など待遇面だけの理由
- 「どこでもいい」と受け取られるような曖昧な内容
- 嘘や過度な誇張
志望動機を書く前の準備
応募先の情報を徹底的に調べる
応募先のホームページ、求人票、口コミサイト、SNSなど、あらゆる情報源を活用して施設の特徴を把握しましょう。特に「理念」「力を入れている分野」「教育体制」「最近のニュース」は志望動機に直結する重要な情報です。
自分の強み・経験を棚卸しする
これまでの経験の中で「何が得意か」「どんな場面でやりがいを感じたか」「どんなスキルを身につけたか」を洗い出しましょう。具体的なエピソードをいくつか用意しておくと、説得力のある志望動機が書きやすくなります。
転職の軸を明確にする
「なぜ転職するのか」「転職先に何を求めるのか」「将来どうなりたいのか」を自分の中で整理しておくことが、すべての出発点です。この軸がぶれていると、どれだけ文章力があっても説得力のある志望動機は書けません。

転職エージェントの添削サービスも活用しよう
志望動機の書き方に自信がない方は、転職エージェントの書類添削サービスを活用するのも有効な手段です。看護roo!やレバウェル看護などの転職サービスでは、履歴書・職務経歴書の添削を無料でサポートしてくれます。
プロの目で見てもらうことで、自分では気づかなかった改善点が見つかることも多いです。第三者の視点を取り入れることで、完成度の高い志望動機に仕上げることができます。
参考:厚生労働省 – 若者雇用促進総合サイト(www.mhlw.go.jp・サイト終了)
よくある質問(Q&A)
Q. 志望動機は手書きとパソコン、どちらで書くべきですか?
A. 応募先から特に指定がなければ、パソコンで作成して問題ありません。ただし、手書きの履歴書を求められる場合は丁寧な字を心がけましょう。内容が最も重要であることに変わりはありません。
Q. 志望動機は何文字くらいが適切ですか?
A. 履歴書の志望動機欄であれば200〜400字程度が目安です。職務経歴書に別途記載する場合は、もう少し詳しく書いても構いません。簡潔に要点を伝えることを意識しましょう。
Q. 本音の転職理由が「給与」の場合はどう書けばいいですか?
A. 給与を直接的な理由として書くのは避けましょう。「自分のスキルや経験を正当に評価してもらえる環境で、さらに成長したい」のように、キャリアアップの文脈に言い換えるのが効果的です。
Q. 複数の施設に応募する場合、志望動機は施設ごとに変えるべきですか?
A. 必ず変えてください。同じ文面を使い回すと、「うちでなくてもいいのでは」と思われてしまいます。応募先ごとの特徴を調べ、その施設にしか当てはまらない内容を盛り込みましょう。
Q. 転職回数が多い場合、志望動機で何に注意すべきですか?
A. 転職回数の多さを言い訳せず、各職場で得た経験やスキルがどう積み重なって今の自分があるのかを前向きに伝えましょう。「多様な経験を通じて○○のスキルを磨いてきた」のように、一貫性をアピールするのがポイントです。
Q. 志望動機が思いつかない場合はどうすればいいですか?
A. まずは応募先の情報を徹底的に調べましょう。ホームページの理念、力を入れている分野、スタッフの声などを読み込むと、共感できるポイントが見えてくるはずです。それでも難しい場合は、転職エージェントに相談して一緒に考えてもらうのも一つの方法です。
まとめ
志望動機は転職活動の成否を左右する重要な要素です。「転職理由」「応募先を選んだ理由」「入職後に貢献できること」の3つの要素を軸に、応募先の特徴と自分の経験を結びつけた具体的な内容を心がけましょう。
例文はあくまで参考として、最終的には自分の言葉で表現することが大切です。採用担当者は多くの志望動機を目にしていますから、テンプレートの丸写しはすぐに見抜かれます。自分だけのオリジナルな志望動機を作り上げてください。



