「体がつらくて出勤できない」「メンタルが限界で休みたい」と感じている看護師さんへ。休職は決して逃げではなく、自分を守るための正当な手段です。
ただ、「休職ってどうやって申請するの?」「診断書は要るの?」「休職中のお金はどうなるの?」と不安なことだらけですよね。
この記事では、看護師が休職するための具体的な手続きの流れから、休職中に使える制度まで、わかりやすく解説します。

看護師が休職する主な理由
看護師が休職を考える理由はさまざまですが、特に多いのは以下のケースです。
- メンタルヘルスの不調:うつ病・適応障害・不安障害など
- 身体的な病気やケガ:腰痛の悪化・手術が必要な疾患など
- バーンアウト(燃え尽き症候群):長期間の過重労働による心身の消耗
- ハラスメント:パワハラやいじめによる精神的ダメージ
看護師は人の命を預かる仕事だからこそ、心身のコンディションが崩れたまま働き続けるのはリスクが高いです。休職して回復に専念することは、自分だけでなく患者さんのためにもなります。
休職の手続き:ステップバイステップ
ステップ1:医療機関を受診して診断書をもらう
休職するためには、医師の診断書が必要です。メンタルヘルスの不調であれば精神科・心療内科、身体的な疾患であれば該当する診療科を受診しましょう。
診断書には「病名」と「休養が必要な期間」が記載されます。発行には数千円〜1万円程度の費用がかかりますが、これは自己負担です。
診断書をもらうときのポイント
- 症状を正直に伝える(仕事の状況や睡眠・食欲の変化など)
- 「仕事ができない状態である」ことを医師に理解してもらう
- 休養期間の目安を記載してもらう
ステップ2:職場に休職の意思を伝える
診断書が手に入ったら、直属の上司(師長など)に休職したい旨を伝えます。電話でも対面でも構いませんが、体調が悪くて出勤できない場合は電話でOKです。
ステップ3:就業規則を確認する
休職制度は法律で義務付けられたものではなく、各職場の就業規則によって定められているものです。そのため、休職できる期間や条件は勤務先によって異なります。
確認すべきポイント
- 休職できる最大期間(3か月〜1年程度が一般的)
- 休職中の給与の有無
- 休職中の社会保険料の取り扱い
- 復職の条件
ステップ4:休職届(休職願)を提出する
多くの職場では、診断書とともに「休職届」や「休職願」の提出を求められます。書式は職場によって異なるため、人事部門や総務に確認しましょう。
ステップ5:引き継ぎと休職開始
可能であれば、担当業務の引き継ぎを行います。ただし、体調が悪い場合は無理に出勤する必要はありません。電話やメールで最低限の情報を伝えれば十分です。

休職中の給与・お金のこと
休職中の給与は出るの?
休職中の給与については、勤務先の規定によって大きく異なります。公立病院や大手法人では一定期間は給与が支払われるケースがありますが、民間の中小規模の病院では無給になることも少なくありません。
傷病手当金を活用しよう
健康保険に加入している場合、傷病手当金を受給できる可能性があります。傷病手当金は、業務外の病気やケガで連続して3日以上休んだ場合に、4日目から支給される制度です。
支給額は給与の約3分の2で、通算して1年6か月まで受給できます。詳しくは加入している健康保険組合や協会けんぽに問い合わせてみてください。
休職中の社会保険料
休職中でも社会保険料(健康保険・厚生年金)の支払いは続きます。給与が出ない場合は、自分で支払う必要があるため、休職前に金額と支払い方法を確認しておきましょう。

休職中の過ごし方
休職中は回復に専念することが大切です。以下のポイントを意識してみてください。
- まずはしっかり休む:罪悪感を感じる必要はない
- 規則正しい生活リズムを心がける
- 通院を続ける:医師の指示に従って治療を継続する
- 職場との連絡は最低限でOK:定期的な状況報告程度に
- 回復してきたら、少しずつ外出や活動を増やす
復職に向けて
復職のタイミングは、主治医の判断と職場との話し合いで決まります。多くの職場では、復職前に産業医との面談や段階的な復帰プログラムを用意しています。
復職に不安がある場合は、「リワークプログラム」と呼ばれる復職支援プログラムを活用するのも有効です。医療機関や地域障害者職業センターなどで実施されています。
復職を焦りすぎると再度体調を崩すリスクがあります。医師と相談しながら、無理のないペースで進めましょう。
休職しても退職しなくていい
「休職したら、そのまま辞めることになるんじゃないか」と心配する方もいますが、休職と退職はまったく別のものです。休職はあくまで一時的な休養であり、回復すれば元の職場に戻ることができます。
もちろん、休職期間中に転職を検討するのも選択肢のひとつです。大切なのは、まず心身を回復させてから、今後のキャリアについてゆっくり考えることです。

Q&A:看護師の休職に関するよくある質問
Q. 休職中にアルバイトはできますか?
原則として、休職中のアルバイトは就業規則で禁止されていることが多いです。また、傷病手当金を受給中に働くと、支給が停止される可能性があります。
Q. 休職期間の上限はどのくらいですか?
職場によって異なりますが、3か月〜1年程度が一般的です。就業規則で確認しましょう。
Q. 診断書はどの診療科でもらえますか?
症状に合った診療科を受診してください。メンタルの不調であれば精神科や心療内科、身体の病気であればその疾患を専門とする診療科になります。
まとめ
看護師が休職するためには、「医師の診断書をもらう」「職場に伝える」「休職届を提出する」という流れで手続きを進めます。休職中は傷病手当金を活用できる場合があるため、忘れずに申請しましょう。
心や体がつらいと感じたら、まずは医療機関を受診することが第一歩です。休むことに罪悪感を持つ必要はありません。自分を大切にして、しっかり回復してから次のステップを考えましょう。
参考:日本看護協会 労働と看護の質向上 / 全国健康保険協会(協会けんぽ) / 厚生労働省 心の健康
看護師の休職に関する法律と制度
労働基準法と休職制度の関係
実は、労働基準法に「休職制度」の規定はありません。休職は法律上の義務ではなく、各事業者が就業規則で任意に定めているものです。そのため、休職期間や条件は病院・施設によって大きく異なります。
公立病院と民間病院の違い
公立病院の場合は、地方公務員としての身分保障があるため、比較的長い休職期間(最長3年程度)が認められるケースがあります。一方、民間病院では3か月〜1年が一般的で、休職期間満了後に復職できない場合は自然退職となることもあります。
休職と年次有給休暇の関係
休職に入る前に有給休暇を消化するかどうかは、職場の方針と本人の希望によります。有給を使い切ってから休職に入るパターンが多いですが、退職時の有給消化に備えて一部残しておくという判断もあります。

休職中に利用できる支援制度
自立支援医療制度
精神疾患で通院している場合、自立支援医療制度を利用すると、医療費の自己負担が原則1割になります。うつ病や適応障害などで休職中の方は、ぜひ活用してください。申請は住所地の市区町村の窓口で行えます。
障害年金
長期間にわたって療養が必要な場合は、障害年金の受給対象になる可能性があります。初診日から1年6か月経過後に申請できます。金額は障害の程度や加入している年金の種類によって異なります。
生活困窮者自立支援制度
休職中の生活に困窮している場合は、各自治体の生活困窮者自立支援窓口で相談できます。家賃補助(住居確保給付金)や生活費の貸付などの支援を受けられる可能性があります。
休職中に使える主な制度まとめ
- 傷病手当金:給与の約2/3を通算1年6か月
- 自立支援医療:精神科の医療費が1割負担に
- 障害年金:長期療養の場合に申請可能
- 住居確保給付金:家賃の補助
休職経験のある看護師の体験談
「ICUで3年間働いた後、バーンアウトで適応障害と診断されました。最初は『休んでいいのかな』と罪悪感でいっぱいでしたが、3か月しっかり休んだら本当に気持ちが回復しました。傷病手当金のおかげで経済的な不安も最小限で済みました。」
「腰痛が悪化して、手術のために2か月間休職しました。復帰後は病棟から外来に異動させてもらい、体への負担が軽くなりました。休職をきっかけに、自分の働き方を見直す良い機会になったと思います。」
「パワハラが原因でうつ状態になり、6か月間休職しました。休職中にリワークプログラムに参加して、ストレスへの対処法を学べたのが大きかったです。復職後は別の病棟に配属してもらい、今は元気に働いています。」

休職を考えている看護師へのメッセージ
「休むことは甘えではない」——これは多くの医療専門家が口を揃えて言うことです。看護師は責任感が強く、自分より患者を優先する傾向がありますが、自分が倒れてしまったら誰も助けられません。
休職は「自分を守るための戦略的な一手」です。心身が回復すれば、また看護師として活躍できます。焦らず、しっかりと回復に専念してください。
もし周囲に相談しにくい場合は、こころの健康相談統一ダイヤル(0570-064-556)に電話してみてください。専門の相談員が話を聞いてくれます。一人で抱え込まなくて大丈夫です。



