「介護施設で働く看護師ってどんな感じ?」「病院から介護施設に転職するメリットは?」と疑問に思っている方は多いのではないでしょうか。
介護施設は、病院よりも穏やかな環境で、入居者さんとじっくり向き合えるのが特徴です。高齢化社会の進展に伴い看護師の需要が非常に高く、転職先としての人気も上昇しています。
この記事では、看護師が介護施設に転職するメリット・デメリット、施設の種類ごとの仕事内容、給料の相場から転職成功のポイントまで徹底解説します。

看護師が働ける介護施設の種類
一口に「介護施設」といっても、種類によって看護師の役割や業務内容は大きく異なります。まずは主な施設の種類を理解しておきましょう。
特別養護老人ホーム(特養)
特養は、要介護3以上の高齢者が入所する公的な施設です。終身入所が基本で、看取りまで行う施設も増えています。
- 入所者の要介護度が高い
- 医療処置は比較的少ない
- 日中のみ看護師配置の施設が多い
- 看取り対応を行う施設が増加中
介護老人保健施設(老健)
老健は、在宅復帰を目指すリハビリテーション中心の施設です。医師が常駐しており、医療体制が比較的充実しています。
- 入所期間は原則3~6ヶ月
- 医師が常駐している
- 医療処置の機会が特養より多い
- リハビリスタッフとの連携が重要
有料老人ホーム
有料老人ホームは民間が運営する施設で、介護付き・住宅型・健康型の3タイプがあります。サービスの質にこだわる施設が多く、看護師への待遇も比較的良い傾向です。
グループホーム
グループホームは認知症の方が少人数(5~9名程度)で共同生活を送る施設です。家庭的な雰囲気の中で、入居者さんの健康管理を行います。
サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)
サ高住は比較的自立度の高い高齢者が入居する住宅です。医療的なニーズは低めですが、看護師が配置されている施設もあります。
施設の種類によって看護師の業務内容や忙しさが大きく異なります。自分がどの程度の医療処置を行いたいか、どんな環境で働きたいかを考えて選びましょう。
介護施設での看護師の仕事内容
入居者の健康管理
介護施設の看護師の最も重要な業務は、入居者さんの日々の健康管理です。
- バイタルサイン測定と体調の変化の観察
- 体調不良時のアセスメントと対応
- 嘱託医への報告・相談
- 感染症の予防と発生時の対応
- 体重管理、栄養状態の確認
医療処置
施設の種類にもよりますが、以下のような医療処置を行います。
- 服薬管理(配薬・与薬・薬の管理)
- 経管栄養(胃ろう・経鼻栄養)の管理
- 褥瘡(床ずれ)の処置と予防
- 吸引(痰の吸引)
- インスリン注射の管理
- バルーンカテーテルの管理
- ストーマケア
介護スタッフへの指導・アドバイス
介護施設では、介護スタッフへの医療的なアドバイスや指導も看護師の重要な役割です。「この症状は受診が必要か」「どのタイミングで看護師に報告すべきか」など、介護スタッフが判断に迷う場面でサポートします。
看取り対応
近年、特養を中心に看取り対応を行う施設が増えています。入居者さんが最期まで穏やかに過ごせるよう、医師やご家族と連携しながらターミナルケアを提供します。
受診の付き添い・搬送判断
入居者さんの体調が悪化した場合、病院への受診が必要かどうかを判断し、必要に応じて受診の手配や付き添いを行います。

看護師が介護施設に転職する8つのメリット
メリット1:精神的な負担が軽減される
介護施設は病院と比較して、急変や緊急入院などの緊張感が少ない環境です。入居者さんの状態は比較的安定していることが多く、日常的なプレッシャーが軽減されます。
メリット2:入居者さんとゆっくり関われる
病院では入退院のサイクルが早く、患者さんとの関わりが短期間になりがちです。一方、介護施設では入居者さんと長期間にわたって関わることができ、一人ひとりをしっかりと理解した上での看護が可能です。
メリット3:残業が少ない
介護施設は病院と比較して緊急入院や急な手術がないため、残業が発生しにくいです。定時で帰れることが多く、プライベートの時間を確保しやすくなります。
メリット4:日勤のみの勤務も選べる
多くの介護施設では、看護師は日勤のみの勤務が基本です。特養では夜間の看護師配置が義務ではないため、日勤帯のみの勤務で働けるケースが多いです。
一部の施設では夜勤やオンコール対応が必要な場合もあります。求人応募時に夜勤の有無やオンコール体制について必ず確認しましょう。
メリット5:看護師の需要が高い
高齢化の進展に伴い、介護施設の数は増加し続けています。それに伴い看護師の需要も非常に高く、求人数が豊富です。転職先に困ることはほとんどありません。
メリット6:ブランクからの復帰がしやすい
介護施設は病院と比較して高度な医療処置が少ないため、ブランクがある看護師でも復帰しやすい環境です。バイタル測定や服薬管理など、基本的な看護スキルがあれば対応可能です。
メリット7:看護師としての判断力が身につく
介護施設では医師が常駐していないケースが多いため、看護師が自分の判断で対応する場面が増えます。「受診が必要かどうか」「救急搬送すべきか」などの判断力が鍛えられます。
メリット8:多職種連携の経験が積める
介護施設では、介護士、ケアマネジャー、理学療法士、管理栄養士など、様々な職種と連携して仕事を進めます。多職種連携の経験は、将来どの分野で働く場合にも活かせるスキルです。

看護師が介護施設に転職するデメリット
デメリット1:給料が下がる可能性がある
介護施設の看護師の給与は、病院と比較するとやや低めの傾向があります。
- 常勤の月収:27~35万円
- 常勤の年収:380~480万円
- パートの時給:1,400~1,800円
特に夜勤がない場合は夜勤手当分の減収となります。ただし、有料老人ホームなど、病院と同等以上の待遇を提供する施設もあります。
デメリット2:臨床スキルが低下する可能性がある
介護施設では高度な医療処置の機会が限られるため、急性期看護のスキルが低下する可能性があります。将来的に病院に戻ることを考えている場合は、自主的なスキルアップが必要です。
デメリット3:介護業務との境界が曖昧になりがち
介護施設では、看護業務と介護業務の境界が曖昧になることがあります。「これは看護師の仕事なのか介護士の仕事なのか」と役割分担で悩むケースは少なくありません。
デメリット4:医師がすぐそばにいない不安
特養などでは医師が常駐していないため、急変時に自分一人で初期対応を行い、電話で医師に報告・指示仰ぎをする必要があります。この状況にプレッシャーを感じる方もいます。
デメリット5:介護スタッフとの人間関係
介護施設では看護師の人数が少なく、介護スタッフが多数を占めます。職種間の考え方の違いから摩擦が生じることもあり、「看護師は偉そう」「介護の仕事を理解していない」と思われないよう配慮が必要です。
介護スタッフとの良好な関係を築くコツは、「上から目線にならないこと」「介護の仕事をリスペクトすること」です。一緒に入居者さんのケアに取り組む姿勢を見せることで、信頼関係が構築できます。
介護施設の看護師の1日のスケジュール(特養の例)
特別養護老人ホームでの看護師の一般的な1日をご紹介します。
- 8:30:出勤、夜間の様子を介護スタッフから申し送り
- 9:00:入居者のバイタル測定、体調チェック
- 10:00:医療処置(褥瘡処置、経管栄養、吸引など)
- 11:00:嘱託医の往診対応、指示受け
- 12:00:昼食時の見守り、服薬管理
- 13:00:昼休憩
- 14:00:記録作成、カンファレンス参加
- 15:00:バイタル測定、入居者の状態確認
- 16:00:翌日の準備、介護スタッフへの申し送り
- 17:00:退勤
病院と比べてゆったりしたペースで業務が進むのが特徴です。もちろん急変があれば慌ただしくなりますが、日常的にはバタバタすることは少ないです。

介護施設への転職を成功させるポイント
施設見学を必ず行う
介護施設は施設ごとに雰囲気や方針が大きく異なります。必ず施設見学を行い、入居者さんへのケアの質、スタッフの様子、施設の清潔さなどを自分の目で確かめましょう。
看護師の人数と役割を確認する
看護師の配置人数と具体的な業務内容を事前に確認しましょう。看護師が1名だけの施設は負担が大きくなる可能性があります。
オンコール体制の詳細を確認する
オンコールがある場合は、月に何回当番が回ってくるか、実際にどの程度呼び出しがあるか、手当の金額などを詳しく確認しましょう。
介護スタッフとの関係性を観察する
施設見学の際に、看護師と介護スタッフの関係性を観察しましょう。お互いをリスペクトし合える関係が築けている施設は、働きやすい環境といえます。
よくある質問(Q&A)
Q1:介護施設で働く看護師に必要な経験年数は?
介護施設の求人では、臨床経験2~3年以上を条件としていることが多いです。ただし、ブランクがある方や経験年数が浅い方でも応募可能な施設は多数あります。基本的なバイタル測定、服薬管理、褥瘡処置ができれば対応可能です。
Q2:特養と老健、看護師にとってどちらが働きやすいですか?
特養は医療処置が少なめで比較的穏やか、老健は医師が常駐していて医療体制が整っています。「医療処置は少なくていい」なら特養、「ある程度の医療行為を行いたい」なら老健がおすすめです。自分の希望する働き方に合わせて選びましょう。
Q3:介護施設の看護師は夜勤がありますか?
施設の種類によって異なります。特養は日勤のみ(夜間はオンコール対応)が多く、老健や有料老人ホームでは夜勤がある場合もあります。日勤のみを希望する場合は、求人選びの際に明確に条件を伝えましょう。
Q4:介護施設で看護師として働くのに、介護の資格は必要ですか?
介護の資格は必要ありません。看護師免許があれば介護施設で働けます。ただし、介護福祉士やケアマネジャーの資格を取得すると、キャリアの幅が広がります。
Q5:介護施設から病院に戻ることはできますか?
可能です。ただし、長期間介護施設で働いた後は、急性期のスキルが低下している場合があります。回復期や慢性期の病院から段階的に復帰するのも一つの方法です。
Q6:介護施設の看護師は看取りの対応をしますか?
特養を中心に、看取り対応を行う施設が増えています。入居者さんが最期まで施設で過ごせるよう、医師やご家族と連携してターミナルケアを提供します。看取りの経験は、看護師としての貴重な財産になります。
参考:日本看護協会では、施設看護に関する研修情報を提供しています。
また、ナースセンターでも転職に関する無料相談が可能です。

まとめ
看護師から介護施設への転職は、精神的な負担の軽減、残業の少なさ、入居者さんとのゆったりとした関わりなど、多くのメリットがあります。
施設の種類によって業務内容や忙しさが異なるため、自分に合った施設を選ぶことが転職成功の鍵です。特養、老健、有料老人ホームなど、それぞれの特徴を理解した上で、施設見学を行って雰囲気を確かめましょう。
高齢化社会の進展に伴い、介護施設での看護師需要は今後もさらに増加していきます。「病院の忙しさに疲れた」「もっとゆっくり患者さんと向き合いたい」という方にとって、介護施設は理想的な転職先となるでしょう。
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