「夜勤がきつくて体がもたない」「でも収入が減るのは困る」——夜勤の回数に悩む看護師は多いです。夜勤は看護師の健康に大きな影響を与えることがわかっているため、無理を続ける必要はありません。
この記事では、夜勤の回数を減らすための具体的な方法と、収入面の変化や職場での交渉術について解説します。

看護師の夜勤回数のガイドライン
日本看護協会が定める「看護職の夜勤・交代制勤務ガイドライン」では、3交代制の場合は月8回以内の夜勤が推奨されています。2交代制の場合は月4回以内が目安です。
ただし、労働基準法で夜勤回数の上限は定められていないため、ガイドラインはあくまで推奨であり法的拘束力はありません。そのため、施設によっては月9回以上の夜勤が組まれている場合もあります。
日本医労連の調査によると、介護や医療現場で働く看護師の約3〜4割が月9回以上の夜勤をこなしているという報告があります。
回数の見直しはすぐには進まないことも多いので、その間の過ごし方も大切になります。夜勤明けに日中寝る前提で、光を遮る道具をそろえている看護師は少なくありません。
夜勤回数を減らす5つの方法
方法1:師長に直接相談する
まず最初にやるべきは、直属の上司(師長・副師長)への相談です。「体調面で不安がある」「家庭の事情で夜勤を減らしたい」など、具体的な理由を添えて伝えましょう。
事業主には従業員に対する「安全配慮義務」があるため、健康上の理由がある場合は配慮を求めやすくなります。診断書がある場合は持参すると、より説得力が増します。
方法2:夜勤免除・軽減の制度を利用する
以下に該当する場合は、法律に基づいて夜勤の免除や制限を申請できます。
- 育児・介護休業法:小学校就学前の子を養育する従業員は、深夜業の制限を請求できる
- 妊娠中・産後1年以内:母性保護の観点から、深夜業の免除を申請できる
これらの権利を知らないために活用していない看護師もいるので、自分が該当するかどうか確認してみましょう。

方法3:日勤常勤・日勤パートに切り替える
同じ施設内で「日勤のみ」の働き方に変更できないか相談してみましょう。クリニックへの異動や、外来・手術室・内視鏡室など夜勤のない部署への配置転換を願い出る方法もあります。
フルタイム勤務を維持したまま日勤のみに切り替えれば、夜勤手当は減るものの基本給や社会保険はそのままです。
方法4:夜勤の少ない施設に転職する
夜勤を根本的に減らしたい場合は、転職も有力な選択肢です。以下の施設は夜勤が少ない、またはないケースが多いです。
- クリニック・診療所(日勤のみが基本)
- 健診センター
- デイサービス・デイケア
- 訪問看護ステーション(オンコール制の場合あり)
- 企業の健康管理室(産業看護師)
- コールセンター(医療系相談窓口)
方法5:夜勤専従を活用して「集中」する
意外に思われるかもしれませんが、夜勤専従(夜勤のみの勤務形態)に切り替えることで、出勤日数そのものを減らす方法もあります。夜勤専従は1回の勤務時間が16時間程度と長い代わりに、月の出勤日数は8〜10回程度です。夜勤に慣れている方であれば、まとまった休みが取れるメリットがあります。
夜勤の回数を減らす方法は「相談」「制度活用」「部署異動」「転職」「勤務形態の変更」の5つがあります。自分の状況に合った方法を選びましょう。
夜勤を減らすと収入はどう変わる?
看護師の収入に占める夜勤手当の割合は大きく、夜勤手当は1回あたり8,000〜12,000円(2交代の場合)が相場です。仮に月4回の夜勤を減らすと、月額3〜5万円程度の減収になります。
年間にすると36〜60万円ほどの差になるため、家計への影響は無視できません。減収分をカバーするには、以下の方法が考えられます。
- 基本給の高い施設に転職する
- 資格手当や役職手当が充実した施設を選ぶ
- 副業(在宅ワークや単発バイトなど)で補う

職場への伝え方・交渉のコツ
タイミングを見極める
シフト作成が始まる前(多くの場合、前月の中旬まで)に申し出るのがベストです。直前の申し出は対応が難しくなります。
理由を具体的に伝える
「なんとなく減らしたい」ではなく、「睡眠障害の傾向がある」「育児との両立が困難」「体調不良が続いている」など、具体的な理由を伝えましょう。
代替案を提示する
「夜勤を減らす代わりに休日出勤に入れる」「遅番を多めに引き受ける」など、チーム全体のバランスを考えた代替案を用意しておくと、交渉がスムーズです。
一方的に夜勤回数を増やされた場合は、「労働条件の不利益変更」に該当する可能性があります。就業規則に定められた回数を大幅に超える夜勤を強いられている場合は、労働組合や労働基準監督署に相談しましょう。
Q&A|よくある疑問に答えます
Q. 夜勤を断ったら評価が下がる?
法的な制度(育児・介護等)を利用して夜勤を制限した場合、それを理由に人事評価を下げることは不利益取り扱いとなり、法律で禁じられています。制度を利用する正当な理由があれば、堂々と申請しましょう。
Q. 夜勤を減らしたら同僚に迷惑がかかる?
気持ちは分かりますが、人員配置はあくまで管理者の責任です。個人が過度に罪悪感を持つ必要はありません。体を壊して長期離脱する方がチームへの影響は大きくなります。
Q. 年齢を理由に夜勤を減らしてもらえる?
法的な根拠はありませんが、健康診断の結果や体調の変化を具体的に伝えれば、配慮してもらえるケースは多いです。「安全配慮義務」の観点から、管理者も対応を検討してくれるでしょう。
まとめ
夜勤の回数を減らすためには、上司への相談、法的制度の活用、部署異動、転職、勤務形態の変更といった方法があります。「夜勤を減らしたい」と思ったら、まずは師長に相談することから始めてみましょう。
看護師として長く健康に働き続けるために、無理のない夜勤回数を見つけることが大切です。自分の体と生活を守る選択を優先してください。
日本看護協会の夜勤負担に関する情報ページや、看護師の労働条件ガイドも参考にしてみてください。
夜勤の健康への影響を知っておこう
夜勤の回数を減らしたいと考える背景には、体への負担があります。夜勤が健康に与える影響について、研究でわかっていることを紹介します。
睡眠の質の低下
夜勤後の日中の睡眠は、夜間の睡眠と比べて質が低いことがわかっています。体内時計(サーカディアンリズム)に逆らう生活を続けることで、慢性的な睡眠不足に陥りやすくなります。
日中は外の明るさと生活音が入ってくるため、寝室の環境そのものが夜とは違います。遮光性の高いカーテンに替えて部屋を暗くしている人もいます。
生活習慣病のリスク
夜勤を長期間続けることで、糖尿病、高血圧、心血管疾患のリスクが上昇することが複数の研究で報告されています。不規則な食事時間や運動不足も重なり、体重増加につながるケースも多いです。
メンタルヘルスへの影響
夜勤の回数が多い看護師ほど、バーンアウト(燃え尽き症候群)や抑うつのリスクが高まるという報告があります。生活リズムの乱れが精神的な不調の引き金になることがあります。
上記の健康リスクは個人差が大きく、夜勤を続けていてもまったく問題のない方もいます。ただし、不調を感じている場合は無理をせず、早めに対策を講じましょう。
夜勤を減らした後のキャリアパス
夜勤を減らすことは「キャリアダウン」ではありません。夜勤のない、あるいは少ない環境でもキャリアを伸ばす方法はたくさんあります。
管理職への道
師長や副師長などの管理職は、日勤中心の勤務になるケースが多いです。マネジメントスキルを磨いて管理職を目指すことで、夜勤から自然と離れることができます。
専門資格を活かしたキャリア
認定看護師や専門看護師の中には、日勤のみの勤務で専門的な活動を行っているケースもあります。たとえば感染管理認定看護師は、病棟を横断して感染対策の指導を行うため、日勤帯での活動が中心です。
看護以外のフィールド
産業看護師(企業の健康管理室勤務)、治験コーディネーター(CRC)、医療系ライター、看護教員など、看護師の資格を活かしながら夜勤のない働き方を実現できる職種もあります。

夜勤回数の交渉で使えるフレーズ集
師長への相談時に、具体的で建設的なフレーズを準備しておくと交渉がスムーズです。
- 「睡眠の質が落ちて業務に支障が出始めているため、月の夜勤を○回に減らしていただけないでしょうか」
- 「家庭の事情で夜の時間帯に家にいる必要があり、夜勤の配慮をお願いしたいのですが」
- 「夜勤を減らす代わりに、休日出勤や遅番を多めに入ることで病棟の人員バランスを維持できると思います」
- 「体調管理のために、一時的に夜勤回数を減らしていただき、様子を見ながら徐々に戻していくことは可能でしょうか」
「減らしてほしい」だけでなく、代替案を提示することで、管理者も前向きに検討しやすくなります。
夜勤を減らした看護師の声
Eさん(30代・急性期病棟→クリニック転職)
「月8回の夜勤が体に合わなくなり、日勤のみのクリニックに転職しました。年収は50万円ほど下がりましたが、体調不良で休む日がゼロになり、トータルでは得した感覚です。夜ちゃんと寝られるだけで、こんなに体が楽になるとは思いませんでした。」
Fさん(40代・同じ病院で日勤常勤に変更)
「子どもの小学校入学を機に、師長に夜勤免除を相談しました。育児・介護休業法の深夜業制限を利用したので、法的な根拠があるとスムーズに話が通りました。同僚にも事情を共有したら、応援してくれる人がほとんどでした。」
夜勤の回数に悩んでいる方は、まずは自分の状況に合った方法を一つ試してみてください。行動を起こすことで、状況は変わります。



