「仕事で体を動かしているのに、慢性的に疲れが取れない」「運動したいけど、仕事の後はクタクタでジムに行く気力がない」——忙しい看護師にとって、運動習慣を持つことはハードルが高く感じられるかもしれません。
しかし、適度な運動は疲労の蓄積を防ぎ、疲れにくい体をつくるために欠かせない習慣です。看護業務で使う「立ちっぱなし・中腰・患者さんの介助」といった動きは特定の筋肉に偏った負荷がかかるため、運動による全身のバランス調整が大切になります。
この記事では、看護師のライフスタイルに合った運動の選び方と、無理なく続けるコツを紹介します。

看護師に運動が必要な理由
仕事の疲れと運動の疲れは別物
看護業務は「同じ姿勢を維持する」「特定の筋肉に負荷がかかる」という特徴があり、筋肉の一部だけが疲労する「局所疲労」が起きやすい状態です。運動で全身をバランスよく動かすことで、血流が改善され疲労物質の排出が促されます。
基礎体力があるとハードな勤務にも耐えられる
体幹や下半身の筋力がしっかりしていると、立ち仕事や移乗介助のときに体への負担が軽くなります。腰痛や肩こりの予防にもつながるため、長期的に見て働き続けるための投資と言えます。
メンタルヘルスへの効果
運動にはストレスホルモン(コルチゾール)を減少させ、幸福感をもたらすエンドルフィンの分泌を促す効果があるとされています。精神的なリフレッシュにも運動は有効です。
看護師におすすめの運動5選
1. ヨガ
ヨガは看護師に特に人気のある運動のひとつです。深い呼吸と緩やかな動きで自律神経を整え、肩こりや腰痛の改善にも役立ちます。インナーマッスルが鍛えられるため、基礎代謝の向上も期待できます。
自宅でYouTubeの動画を見ながら15〜20分行うだけでも十分効果があります。夜勤前のリラックスや休日の朝活として取り入れやすい運動です。
フローリングの上で直接ポーズを取ると膝や手首が痛くなりやすいので、厚手のマットを1枚敷いておくと自宅でも続けやすくなります。
2. 自重トレーニング(筋トレ)
ジムに行かなくても、スクワット・プランク・腕立て伏せなど自重で行えるトレーニングで十分に筋力を鍛えられます。
看護師におすすめの自重トレーニングメニュー(1セット目安):
- スクワット:15回×2セット(下半身全体・腰痛予防)
- プランク:30秒×2セット(体幹強化・姿勢改善)
- カーフレイズ:20回×2セット(ふくらはぎ・むくみ予防)
- ヒップリフト:15回×2セット(お尻・腰回りの安定)
週2〜3回、1回20〜30分を目安にすると無理なく続けやすいです。
3. ウォーキング・ジョギング
最も手軽に始められる有酸素運動です。早歩きで20〜30分歩くだけでも、血流改善やストレス解消の効果が期待できます。ジョギングはペースを「会話ができる速さ」にするのがポイントで、無理な速度で走ると疲労が蓄積してしまいます。
勤務中のナースシューズのまま歩くと足裏に負担がかかるので、クッション性のある1足を通勤用に分けておくと足が疲れにくくなります。
4. ストレッチ
忙しくてまとまった運動時間が取れない方は、まずストレッチから始めるのがおすすめです。特に看護師がほぐしたい部位は以下の3つです。
- 肩・首まわり:デスクワークやモニター確認で固まりやすい
- 腰・股関節:前かがみの姿勢が多い看護業務の負担を軽減
- ふくらはぎ:立ち仕事で血流が滞りやすい部位
就寝前の5〜10分のストレッチは、睡眠の質を高める効果もあります。
5. 水泳・アクアエクササイズ
水の浮力で関節への負担が少なく、全身をまんべんなく動かせるのが水泳のメリットです。腰痛がある看護師にも取り組みやすい運動で、水圧によるマッサージ効果も期待できます。週1回でも通えると体が変わってきます。

忙しい看護師が運動を続けるコツ
「ながら運動」を取り入れる
通勤時に一駅歩く、エレベーターを使わず階段を使う、テレビを見ながらスクワットをする——こうした日常の中に運動を組み込む方法なら、わざわざ時間を作らなくても運動量を増やせます。
ハードルを下げる
「1日10分でOK」「週1回でも上出来」と最初のハードルを低く設定しましょう。完璧を目指すと続かないため、「やらないよりマシ」の精神で始めるのが大切です。
仲間と一緒にやる
同僚や友人と一緒にヨガ教室に通ったり、ジム仲間を作ったりすると、モチベーションが維持しやすくなります。職場でストレッチの時間を設けているところもあるので、活用しましょう。
記録をつける
スマートフォンのアプリや手帳に運動の記録をつけると、達成感が可視化されてやる気が続きやすくなります。歩数計アプリや筋トレ記録アプリを活用するのもおすすめです。
スマホをポケットに入れられない勤務中でも歩数を拾ってくれるので、手首につけるタイプを使っている看護師の方もいます。
看護師に多い体の悩みと効果的な運動
腰痛
看護師の職業病ともいえる腰痛には、体幹を安定させるトレーニングが有効です。プランクやバードドッグ(四つ這いで対角の手足を伸ばす運動)は、腰を支えるインナーマッスルを鍛えてくれます。また、股関節のストレッチを日常的に行うことで、腰への負荷を分散できるようになります。
肩こり・首のこり
電子カルテの操作やモニター確認で前かがみの姿勢が続く看護師には、肩甲骨周りの運動がおすすめです。肩甲骨を寄せるように両腕を後ろに引くエクササイズを、1日3セット(各10回)行うだけでこりが軽減されます。
足のむくみ
長時間の立ち仕事でふくらはぎがパンパンになる方は、カーフレイズ(かかと上げ)やふくらはぎのマッサージが効果的です。ふくらはぎは「第二の心臓」と呼ばれ、筋肉を動かすことで血液の循環が促されます。勤務中でもトイレに行く際にかかと上げを20回行うだけで違いを感じられます。
勤務中の脚の重さが気になる方には、日中の立ち仕事用に着圧タイプのソックスを選ぶという手もあります。
冷え性
夜勤中の冷えに悩む看護師も多いですが、下半身の筋肉量を増やすことで体の熱産生が上がり、冷えにくくなります。スクワットやランジなど大きな筋肉を使う運動は、冷え性改善に特に効果的とされています。
運動と夜勤の付き合い方
- 夜勤前に激しい運動をすると、勤務中に体力が持たなくなることがあるため控える
- 夜勤明けは体が疲れているため、軽いストレッチや散歩程度にとどめる
- 運動するなら日勤後か休日がベスト
年代別の運動のポイント
20代の看護師
体力のある20代は、筋トレやランニングなどやや強度の高い運動にも取り組みやすい時期です。この時期に基礎的な筋力を作っておくと、30代以降の体力低下を防ぐ土台になります。友人と一緒にジムに通う、ヨガ教室に通うなど、楽しみながら習慣化するのがおすすめです。
30代の看護師
30代に入ると基礎代謝が徐々に下がり始め、「以前と同じように食べているのに太ってきた」と感じる方が増えます。筋トレで基礎代謝を維持しながら、ストレッチで柔軟性を保つことが大切です。家事や育児との両立を考えると、自宅でできる運動を中心に組み立てるとよいでしょう。
40代以降の看護師
40代以降は関節や腰への負担を考慮し、水泳やヨガなど低負荷の運動がおすすめです。無理にハードな運動をすると怪我のリスクが高くなるため、「続けられる強度」を意識しましょう。ウォーキングは年齢を問わず取り組める運動で、骨密度の維持にも効果的とされています。
看護師の運動習慣Q&A
Q. 仕事で毎日歩いているのに運動は別に必要?
看護業務での歩行は「特定の筋肉に偏った負荷」であり、全身バランスよく鍛える運動とは異なります。特に体幹や背中、お尻の筋肉は業務だけでは鍛えにくいため、意識的に運動することが重要です。
Q. 筋肉痛がひどいときは仕事に影響しない?
最初は軽い筋肉痛が出ることもありますが、無理のない負荷で始めれば日常業務に支障は出にくいです。慣れてくると筋肉痛も出にくくなります。筋肉痛がひどい場合は休養日を設け、別の部位のトレーニングに切り替えるのがおすすめです。
Q. 運動する時間が本当にないときは?
入浴中のストレッチ、歯磨き中のかかと上げ、寝る前の3分プランクなど、「スキマ時間」に体を動かすだけでも効果はあります。まずは「1日5分」から始めてみましょう。
テレビを見ながら背中や太ももに転がすだけでもほぐせるので、床に置きっぱなしにできる道具があると「5分だけ」のハードルがさらに下がります。
Q. ジムに通うのとオンラインフィットネスどっちがいい?
夜勤があって決まった時間にジムに通えない看護師には、オンラインフィットネスが便利です。好きな時間に自宅で受講でき、ヨガ・筋トレ・ストレッチなどプログラムも豊富です。一方、ジムはマシンが使えて運動の幅が広がるメリットがあります。24時間営業のジムなら、夜勤前や夜勤明けにも通えるので、ライフスタイルに合わせて選びましょう。

看護師におすすめの運動アプリ・サービス
手軽に運動を始められるアプリやサービスを紹介します。
YouTubeの無料動画
ヨガ・ストレッチ・筋トレの動画が無料で豊富に公開されています。「看護師 ストレッチ」「夜勤明け ヨガ」などで検索すると、看護師向けのコンテンツも見つかります。5分〜15分程度の短い動画から始めると続けやすいです。
フィットネスアプリ
Nike Training ClubやFiNCなどのアプリでは、自宅でできるトレーニングメニューが充実しています。時間や強度を選べるため、忙しい看護師でも自分のペースで取り組めます。記録機能付きのアプリなら、運動の継続も管理しやすいです。
24時間営業のジム
不規則なシフトの看護師には、24時間営業のジムが便利です。夜勤前の夕方や日勤後の夜間など、自分のスケジュールに合わせて通えます。月額制で気軽に始められるジムも増えているので、まずは見学や体験利用から試してみましょう。
まとめ
忙しい看護師こそ、運動習慣を持つことで疲れにくい体を手に入れ、心身ともに健康な状態で仕事に臨めるようになります。
- ヨガ・自重トレーニング・ウォーキングなど自分に合った運動を見つける
- 週2〜3回、1回20〜30分が目安(週1回でもOK)
- 日常に「ながら運動」を取り入れてハードルを下げる
- 夜勤前の激しい運動は避け、日勤後や休日に行う
- 記録をつけて達成感を可視化する
「疲れているから運動しない」のではなく、「疲れにくくなるために運動する」——この発想の転換が、看護師としてのキャリアを長く続けるための鍵になります。



