「看護師として働いているけど、保健師にも興味がある…」「保健師の資格って今からでも取れるの?」と疑問に思っている方は多いのではないでしょうか。
保健師は「病気になる前」の予防に携わる仕事で、地域や企業の健康づくりを支える重要な役割を担っています。看護師免許を持っていれば、追加で保健師養成課程を修了して国家試験に合格することで保健師になれます。
この記事では、看護師から保健師を目指すための具体的なルート、必要な費用や期間、仕事内容、そして保健師になるメリットまで詳しく解説します。キャリアチェンジを考えている看護師の方はぜひ参考にしてください。

保健師とは?看護師との違い
保健師は、厚生労働省が定める国家資格(www.mhlw.go.jp・サイト終了)で、地域住民や企業の従業員の健康管理・予防活動を行う専門職です。看護師が「病気の人を治すケア」を行うのに対し、保健師は「健康な人が病気にならないようにする」予防的なアプローチが中心です。
| 比較項目 | 看護師 | 保健師 |
|---|---|---|
| 対象者 | 患者(病気やケガのある人) | 地域住民・企業の従業員(健康な人を含む) |
| 主な業務 | 治療の補助、患者ケア | 健康相談、保健指導、健康教育 |
| 活動の場 | 病院、クリニック | 保健センター、企業、学校 |
| アプローチ | 個人への治療的ケア | 集団・地域への予防的アプローチ |
| 必要な免許 | 看護師免許 | 看護師免許+保健師免許 |
保健師免許を取得するには、まず看護師免許が必要です。つまり、保健師は看護師免許と保健師免許の「ダブルライセンス」を持つ専門職ということになります。
保健師の主な働き先と仕事内容
行政保健師(市区町村・保健所)
保健師の約60%が行政機関で働いています。市区町村の保健センターや都道府県の保健所に所属し、地域住民の健康管理を担当します。
具体的には、乳幼児健診、母親学級、高齢者の健康相談、感染症対策、精神保健相談、特定保健指導などを行います。地域全体の健康課題を把握し、解決策を企画・実施するのが行政保健師の役割です。
行政保健師は地方公務員として採用されるため、安定した雇用と福利厚生が魅力です。給与も公務員の俸給表に基づいて支給されます。
産業保健師(企業)
一般企業の健康管理室で働く保健師です。従業員の健康診断の運営、保健指導、メンタルヘルスケア、ストレスチェックの実施などが主な業務です。企業看護師と業務内容は似ていますが、保健師免許を持っていることで第一種衛生管理者の資格が自動的に取得でき、より専門的な立場で活動できます。
学校保健師(養護教諭)
学校の保健室で働く養護教諭も、保健師免許を持っている人が多いです。養護教諭になるには別途教員免許が必要ですが、保健師免許を持っていると養護教諭二種免許の取得申請ができます。
病院保健師
病院の中で退院支援や健診センター、地域連携室などで保健指導を行う保健師もいます。臨床経験を活かしながら保健指導に携わることができます。

看護師から保健師になるための3つのルート
ルート1:保健師養成学校に1年間通う
最も一般的なルートです。看護師として働きながら、または退職して保健師養成課程のある大学院・専門学校に1年間通い、保健師国家試験の受験資格を得ます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 期間 | 1年間 |
| 費用 | 100万〜200万円程度(学校による) |
| 入学条件 | 看護師免許を持っていること |
| 学校の数 | 全国に20〜30校程度 |
| メリット | 最短1年で保健師受験資格を取得できる |
| デメリット | 学校数が少なく、入学競争率が高い |
ルート2:大学の編入学(3年次編入)
看護系大学の3年次に編入し、保健師養成課程を含むカリキュラムを履修するルートです。短大や専門学校卒の看護師がこのルートを選ぶケースが多いです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 期間 | 2年間 |
| 費用 | 国公立:100万〜150万円、私立:200万〜400万円 |
| メリット | 学士(看護学)の学位が取れる |
| デメリット | 期間が長い、保健師課程が選択制の大学もある |
ルート3:大学院で保健師課程を履修する
大学院の修士課程で保健師養成課程を履修するルートです。研究活動も行うため、学術的な深い知識が身につきます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 期間 | 2年間 |
| 費用 | 国公立:130万〜160万円、私立:250万〜400万円 |
| メリット | 修士号が取れる、研究能力が身につく |
| デメリット | 期間と費用の負担が大きい |

保健師国家試験について
保健師養成課程を修了すると、保健師国家試験の受験資格が得られます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 試験日 | 毎年2月中旬 |
| 試験科目 | 地域看護学、疫学、保健統計学、保健医療福祉行政論など |
| 出題形式 | 午前・午後の合計75問(マークシート方式) |
| 合格率 | 約85〜95%(年度による) |
| 合格基準 | 総得点の約60%以上 |
保健師国家試験の合格率は85〜95%と高く、養成課程でしっかり学べばほとんどの方が合格しています。ただし、油断は禁物です。過去問を繰り返し解き、弱点を克服しておきましょう。看護師の将来性と今後のキャリアについては以下の記事で解説しています。

保健師になるメリット
- 行政保健師は公務員として安定した雇用が得られる
- 夜勤がなく、カレンダー通りの生活ができる
- 予防医学の専門家として社会に貢献できる
- 第一種衛生管理者の資格が申請で取得可能
- 養護教諭二種免許の取得申請が可能
- 企業看護師(産業保健師)として高待遇の職場で働ける
- 看護師としてのキャリアも活かせるダブルライセンス
保健師になるデメリット・注意点
- 養成課程に通うための期間(1〜2年)と費用がかかる
- 養成学校の数が少なく入学競争率が高い
- 行政保健師は公務員採用試験に合格する必要がある
- 臨床の看護スキルは使わなくなる
- 保健指導や事務作業が中心で、身体を動かす業務は少ない
特に注意したいのは、行政保健師を目指す場合は保健師免許の取得だけでなく、自治体の公務員採用試験にも合格する必要があるという点です。保健師の採用枠は毎年少数のため、こちらの競争率も高いです。看護師のキャリアプランの考え方は以下の記事でまとめています。



看護師から保健師を目指す際の準備
働きながら学校に通えるか
保健師養成学校は基本的に全日制のため、働きながら通うのは難しいです。多くの場合、退職または休職して通学することになります。日本学生支援機構(JASSO)の奨学金や、教育訓練給付金を活用できるケースもあるので、事前に確認しておきましょう。
費用の準備
学費に加えて、通学中の生活費も考慮する必要があります。養成学校の1年間で必要な費用の目安は以下の通りです。
| 項目 | 費用目安 |
|---|---|
| 学費(入学金+授業料) | 100万〜200万円 |
| 教材費 | 5万〜10万円 |
| 実習費 | 含まれる場合が多い |
| 生活費(1年分) | 150万〜200万円 |
| 合計 | 250万〜400万円程度 |
受験対策
養成学校の入学試験では、小論文、面接、英語(学校による)などが課されます。特に志望動機は重視されるため、「なぜ保健師を目指すのか」を具体的に言語化しておきましょう。臨床経験の中で感じた予防医学の重要性や、地域の健康課題に対する問題意識を伝えると説得力が増します。


よくある質問(FAQ)
Q. 看護師経験が何年あれば保健師養成学校に入れますか?
A. 入学条件に臨床経験の年数を指定していない学校がほとんどです。ただし、ある程度の臨床経験(2〜3年以上)があると面接でアピールしやすいです。
Q. 保健師の年収はどのくらいですか?
A. 行政保健師の場合は地方公務員の給与体系に準じ、年収400万〜600万円程度です。産業保健師(企業)の場合は企業規模によりますが、400万〜650万円程度が相場です。
Q. 保健師の需要は今後も続きますか?
A. 高齢化の進展や健康経営の推進により、保健師の需要は今後も堅調と見られています。特に産業保健分野での需要増加が期待されています。
Q. 通信教育で保健師になれますか?
A. 保健師養成課程には実習が含まれるため、完全な通信教育だけでは取得できません。通学が必須です。
Q. 保健師国家試験に落ちた場合、翌年また受験できますか?
A. はい、受験資格は一度取得すれば有効なので、翌年以降も再受験できます。合格率は高いですが、万が一の場合も安心してください。
まとめ:保健師は看護師キャリアの幅を広げる強力な資格
- 保健師は「予防」に携わる国家資格で、看護師免許が前提
- 行政・企業・学校・病院など活躍の場が幅広い
- 最短ルートは保健師養成学校で1年間学ぶ方法
- 国家試験の合格率は85〜95%と高め
- 行政保健師は公務員として安定した待遇が得られる
- 費用は250万〜400万円程度の投資が必要
保健師は看護師のスキルを土台にしながら、まったく新しい分野で活躍できる資格です。取得までに時間と費用はかかりますが、一生モノの資格として長いキャリアで十分に元が取れます。まずは養成学校の情報収集から始めて、自分に合ったルートを見つけてください。




