「病棟の夜勤がきつくて限界…」「もっと患者さん一人ひとりと向き合いたい」と感じている看護師の方は多いのではないでしょうか。そんな方の転職先として注目されているのが訪問看護です。
訪問看護は高齢化社会の進展とともに需要が急増しており、求人数も年々増加しています。在宅医療の推進という国の方針もあり、今後ますます成長が見込まれる分野です。
この記事では、病院やクリニックから訪問看護に転職するメリット・デメリットを詳しく解説します。訪問看護ステーションでの具体的な仕事内容や、向いている人の特徴もまとめているので、転職を検討する際の参考にしてください。

訪問看護とは?仕事内容を詳しく解説
訪問看護とは、看護師が利用者の自宅を訪問し、主治医の指示のもとで看護ケアを提供するサービスです。全国訪問看護事業協会によると、訪問看護ステーションの数は全国で1万5,000か所を超えており、年々増加しています。
訪問看護の主な業務内容
| 業務カテゴリ | 具体的な内容 |
|---|---|
| 健康状態の観察 | バイタルサイン測定、全身状態の観察、病状の変化の確認 |
| 医療処置 | 点滴、注射、褥瘡処置、カテーテル管理、人工呼吸器の管理 |
| 日常生活の支援 | 清潔ケア(入浴介助・清拭)、食事指導、排泄ケア |
| リハビリテーション | 関節可動域訓練、歩行訓練、日常生活動作の練習 |
| ターミナルケア | 在宅での看取り支援、疼痛管理、家族への精神的サポート |
| 家族への指導・相談 | 介護方法の指導、精神的サポート、社会資源の情報提供 |
1件あたりの訪問時間は30分〜90分が一般的で、1日に4〜6件程度の訪問を行います。利用者の自宅という環境で、一人ひとりの生活に寄り添ったケアを提供できるのが訪問看護の大きな特徴です。
訪問看護に転職する7つのメリット
1. 一人ひとりの患者さんとじっくり向き合える
病棟では複数の患者さんを同時に担当するため、一人ひとりに十分な時間をかけることが難しい場面があります。訪問看護では1回の訪問で1人の利用者に集中できるため、「本当にやりたかった看護ができる」と感じる看護師が多いです。
利用者の生活環境を直接見ることで、入院中にはわからなかった課題に気づけることもあります。生活全体を見据えたケアができるのは、訪問看護ならではの醍醐味です。
2. 夜勤がない(オンコールはある場合も)
訪問看護の勤務時間は基本的に日勤のみです。ただし、多くの訪問看護ステーションではオンコール(待機当番)制度があり、夜間や休日に利用者から連絡があった場合に対応する必要があります。
オンコールの頻度はステーションによって異なりますが、月に4〜8回程度が一般的です。実際に出動するのはそのうちの1〜2割程度で、電話対応だけで済むケースも多いです。
3. 自分のペースで働ける
訪問と訪問の間の移動時間や、記録を書く時間は比較的自分のペースで調整できます。病棟のようにナースコールに追われることがないため、精神的なゆとりを感じやすいです。

4. 看護師としての判断力が鍛えられる
訪問先では基本的に一人で対応するため、その場での判断力が求められます。これは責任が大きい反面、看護師として大きく成長できるポイントです。病棟では先輩や医師にすぐに相談できましたが、訪問先では自分でアセスメントし、必要に応じて医師に報告・相談する力が養われます。
5. 給料は病院と同水準かそれ以上
訪問看護師の平均年収は400万〜500万円程度で、病棟看護師と大きな差はありません。オンコール手当や訪問件数に応じたインセンティブが加算されるステーションもあり、頑張り次第で収入アップが見込めます。
6. 人間関係のストレスが少ない
訪問中は基本的に一人で活動するため、病棟特有の人間関係のストレスは軽減されます。カンファレンスやステーション内でのコミュニケーションはありますが、一日中同じメンバーと顔を合わせているわけではないので、適度な距離感を保ちやすいです。
7. 将来性が高く、求人が豊富
在宅医療の推進は国の重点政策です。今後さらに訪問看護の需要は増加すると予測されており、求人数も増え続けています。管理者やステーションの立ち上げなど、キャリアアップの選択肢も広がっています。
訪問看護に転職するデメリット・注意点
1. 一人で判断する責任が大きい
訪問先で急変が起きた場合、その場には自分しかいません。冷静に判断し、適切な対応を取る必要があります。この責任の重さをプレッシャーに感じる看護師もいます。
2. オンコールの負担
オンコール当番の日は、いつ電話が鳴るかわからない緊張感があります。実際の出動頻度は低くても、精神的な負担を感じる方もいるでしょう。オンコールの有無や頻度は入職前に必ず確認しましょう。
3. 天候や移動の負担
訪問看護は利用者の自宅に移動する必要があるため、車や自転車での移動が発生します。真夏の猛暑や真冬の寒さ、雨天時の移動は体力的に負担になることがあります。
4. 病棟のような教育体制がない場合がある
小規模なステーションでは体系的な教育プログラムが整備されていないことがあります。同行訪問の期間が短く、すぐに一人で訪問を任されるケースもあるため、事前に教育体制を確認しておくことが大切です。訪問看護への転職ガイドは以下の記事で詳しくまとめています。



訪問看護に向いている人の特徴
- 一人ひとりの患者さんとじっくり関わりたい人
- 自分で考えて判断する力を伸ばしたい人
- コミュニケーション能力が高い人(利用者・家族・多職種との連携)
- 夜勤から解放されたい人
- 車の運転に抵抗がない人
- 在宅での看取りや終末期ケアに関心がある人
- 臨床経験3年以上を求めるステーションが多い
- 一人で対応する場面が多いため、新卒や経験の浅い看護師にはハードルが高い
- 利用者の自宅に入るため、マナーや配慮が求められる
訪問看護への転職を成功させるポイント
ステーションの規模と教育体制を確認する
スタッフ数が多いステーション(常勤5名以上)は、教育体制が整っている傾向があります。初めての訪問看護であれば、同行訪問の期間が十分に確保されているステーションを選びましょう。
オンコール体制を詳しく確認する
オンコールの有無、頻度、手当の金額、出動時の対応(一人で行くのか、バックアップ体制があるのか)は必ず確認してください。ステーションによって大きく異なります。
利用者の層を確認する
小児、精神科、ターミナルケア、リハビリ中心など、ステーションによって得意とする領域が異なります。自分の経験や興味に合った利用者層のステーションを選ぶと、スムーズに業務に入れます。
看護師専門の転職サイトを活用する
訪問看護の求人は、一般の求人サイトでは情報が限られることがあります。日本看護協会のキャリア支援や看護師専門の転職サイトを活用すると、ステーションの内部情報や口コミも確認できます。病院とクリニックの違いは以下の記事で比較しています。



よくある質問(FAQ)
Q. 訪問看護は未経験でも転職できますか?
A. 転職は可能ですが、多くのステーションでは臨床経験3年以上を条件としています。経験が浅い場合は、教育体制が充実した大手のステーションを選ぶと安心です。
Q. 訪問看護師の1日のスケジュールは?
A. 一般的には8:30〜9:00に出勤し、午前中に2〜3件の訪問、昼休憩を挟んで午後に2〜3件の訪問、17:00〜17:30に記録を完成させて退勤という流れです。
Q. 訪問看護でもスキルアップはできますか?
A. はい。認定看護師(訪問看護、皮膚・排泄ケアなど)の取得を目指したり、ケアマネジャーの資格を取得したりするキャリアパスがあります。また、管理者としてステーションの運営に携わる道もあります。
Q. 訪問看護の離職率は高いですか?
A. 日本看護協会の調査によると、訪問看護ステーションの看護職員の離職率は約15%で、病院とほぼ同水準です。ステーションによって差が大きいため、面接時にスタッフの定着率を確認しておくとよいでしょう。
Q. 男性看護師でも訪問看護で働けますか?
A. もちろん働けます。利用者の中には男性看護師を希望する方もいますし、力仕事が必要な場面(体格の大きい利用者の移乗介助など)では重宝されます。
まとめ:訪問看護は「看護の原点」に立ち返れる働き方
- 訪問看護は利用者の自宅で一人ひとりに寄り添ったケアを提供する仕事
- 夜勤なし・自分のペースで働けるのが大きなメリット
- 一人で判断する責任やオンコールの負担がデメリット
- 給料は病院と同水準、オンコール手当やインセンティブで上乗せも可能
- 需要は増加傾向でキャリアアップの選択肢も広がっている
- 転職時はステーションの規模・教育体制・オンコール体制を必ず確認
「看護の原点に立ち返りたい」「一人ひとりの生活に寄り添った看護がしたい」と感じている方にとって、訪問看護は最適な選択肢の一つです。まずは求人情報をチェックして、ステーション見学に足を運んでみてください。




