夜勤は看護師の収入を大きく左右する重要な要素です。「夜勤手当ってどれくらいもらえるの?」「二交代と三交代で手当はどう違うの?」と気になっている方も多いのではないでしょうか。
この記事では、看護師の夜勤手当の相場を二交代・三交代別に比較しながら、手当が高い職場の特徴や、夜勤で効率よく収入を増やすポイントまで詳しく解説します。夜勤手当の仕組みを正しく理解しておけば、転職や待遇交渉の際にも役立ちます。

夜勤手当の基本的な仕組み
夜勤手当とは、夜間の勤務に対して支給される通常の給与に上乗せされる手当のことです。労働基準法では、22時から翌5時までの深夜帯に勤務した場合、通常の賃金の25%以上の割増賃金を支払うことが義務づけられています。
ただし、多くの病院ではこの法定割増分に加えて、独自の「夜勤手当」を別途設定しています。つまり、看護師が受け取る夜勤に関する手当は、法定の深夜割増賃金と病院独自の夜勤手当の合計ということになります。
この2つの手当を合わせた金額が、実際に看護師が「夜勤手当」として認識している金額です。給与明細では「深夜勤務手当」と「夜勤手当」が別々に記載されているケースもあるため、自分の明細を一度確認してみるとよいでしょう。
二交代制の夜勤手当相場
二交代制は、日勤(8:30〜17:00頃)と夜勤(16:30〜翌9:00頃)の2つのシフトで構成される勤務形態です。夜勤の拘束時間が約16時間と長いのが特徴です。
日本看護協会の「病院看護実態調査」によると、二交代制の夜勤手当の平均額は1回あたり約11,286円です。ただし、この金額はあくまで平均であり、施設によっては8,000円台のところもあれば、15,000円以上のところもあります。
二交代制の月額夜勤手当の目安
二交代制の場合、月に4〜5回の夜勤を行うのが一般的です。
- 月4回の場合:約45,144円
- 月5回の場合:約56,430円
年間で換算すると、夜勤手当だけで約54万円〜68万円の収入が見込めます。これは看護師の年収の中で非常に大きな割合を占めており、夜勤がなくなると年収が50万円以上ダウンするケースもあります。夜勤の有無は、看護師の収入に直結する重要な要素なのです。
三交代制の夜勤手当相場
三交代制は、日勤(8:30〜17:00頃)・準夜勤(16:30〜翌1:00頃)・深夜勤(0:30〜9:00頃)の3シフトで構成されます。1回あたりの勤務時間は約8時間で、二交代制より短いのが特徴です。
- 準夜勤の手当平均:1回あたり約4,154円
- 深夜勤の手当平均:1回あたり約5,490円
深夜勤のほうが手当が高いのは、勤務時間帯がより深夜に及ぶためです。準夜勤は比較的早い時間帯に終わるため、体への負担は深夜勤より少ないといわれています。
三交代制の月額夜勤手当の目安
三交代制では、月に準夜勤4回・深夜勤4回の計8回程度が一般的です。
- 準夜勤4回:約16,616円
- 深夜勤4回:約21,960円
- 月額合計:約38,576円
二交代 vs 三交代の月額夜勤手当比較
- 二交代(月4回):約45,144円
- 三交代(月8回):約38,576円
- 差額:二交代のほうが約6,500円多い
- 夜勤回数は三交代のほうが多いが、手当総額は二交代のほうが上

二交代と三交代、どちらが稼げる?
手当の金額だけで見ると二交代制のほうが有利ですが、どちらが自分に合っているかは手当の金額だけで判断すべきではありません。それぞれのメリット・デメリットを整理しましょう。
二交代制のメリット・デメリット
- メリット:夜勤回数が少なくて済む、夜勤明けの翌日が休みになることが多い、1回あたりの手当が高い
- デメリット:1回の拘束時間が長い(約16時間)、仮眠が取りにくい場合がある、体への負担が大きい
三交代制のメリット・デメリット
- メリット:1回の勤務時間が短い(約8時間)、体への負担が比較的少ない
- デメリット:夜勤回数が多い、生活リズムが乱れやすい、通勤回数が増える
近年は二交代制を導入する病院が増えており、三交代制は減少傾向にあります。ただし、自分の体力や生活スタイルに合った勤務形態を選ぶことが何よりも重要です。
夜勤手当が高い病院の特徴
同じ看護師でも、勤務先によって夜勤手当には大きな差があります。手当が高い傾向にある病院の特徴を見ていきましょう。
救急指定病院
二次救急・三次救急の指定を受けている病院は、夜間の患者対応が多く業務負荷が高いため、夜勤手当を高めに設定している傾向があります。1回あたり15,000円を超えるケースもあります。その分、夜勤中の業務量は多く、休憩が取りにくいこともあるため、体力面での覚悟は必要です。
大規模病院・大学病院
病床数が多い大規模病院や大学病院は、経営基盤が安定しており、夜勤手当の水準も高めに設定されていることが多いです。福利厚生も充実しているケースが多く、総合的な待遇面での満足度が高い傾向にあります。教育体制も整っていることが多いため、キャリアアップを目指す方にもおすすめです。
都市部の病院
都市部は生活コストが高い分、地方と比べて各種手当が高く設定される傾向があります。特に東京都や大阪府の病院は夜勤手当が高めです。都市部の物価を考慮した地域手当が加算されるケースもあります。
人手不足の病院
慢性的に看護師が不足している病院では、夜勤に入ってくれるスタッフを確保するために夜勤手当を引き上げているケースがあります。ただし、人手不足は業務量の多さにも直結するため、手当の高さだけでなく職場環境もしっかり確認しましょう。
夜勤専従という働き方
夜勤のみに特化した夜勤専従ナースという働き方も選択肢の一つです。夜勤専従の場合、1回あたり15,000円〜25,000円の夜勤手当が支給されるケースがあり、月9〜10回の夜勤で月額15万〜25万円の夜勤手当が見込めます。
日勤がないため生活リズムが一定になりやすく、効率的に高収入を得たい方に向いている働き方です。日中の時間を自由に使えるため、ダブルワークや育児との両立を図る看護師にも選ばれています。ただし、夜間の体への負担は大きいため、体調管理には十分な注意が必要です。
夜勤専従は高収入が魅力ですが、長期間続けることで健康リスクが高まる可能性があります。世界保健機関(WHO)傘下の国際がん研究機関は、夜勤を含む交代制勤務を発がん性の可能性がある要因として分類しています。定期的な健康診断の受診と、十分な休息を確保することが大切です。

夜勤手当を増やすためのポイント
現在の夜勤手当に不満がある場合、以下の方法を検討してみてください。
- 転職時に夜勤手当を確認する:求人票の「夜勤手当」の金額を必ずチェック。具体的な金額が記載されていない場合はエージェントに確認を依頼する
- 夜勤回数の交渉:施設によっては夜勤回数の希望を出せるところもある。収入を増やしたいなら夜勤回数を増やす交渉をしてみるのも一つの方法
- 二交代制の病院を選ぶ:1回あたりの手当が高いため、効率的に稼ぎたい場合は二交代制がおすすめ
- 資格を取得する:認定看護師などの資格があると、夜勤時の業務範囲が広がり、手当の交渉材料になることもある
- 夜勤専従を検討する:大幅な収入アップを目指すなら、夜勤専従という選択肢もある
転職の際は、夜勤手当の金額だけでなく、夜勤中の業務量や仮眠の取りやすさなども確認しておくことが大切です。手当が高くても夜勤中にまったく休めない職場では、長く続けるのが難しくなります。
よくある質問(Q&A)
Q. 夜勤手当に税金はかかりますか?
はい、夜勤手当も給与所得の一部として課税対象になります。所得税・住民税の計算に含まれます。手取り額は額面の75〜80%程度と考えておくとよいでしょう。
Q. 夜勤なしでも高収入を得る方法はありますか?
美容クリニックや企業の産業看護師、治験コーディネーター(CRC)など、日勤のみで比較的高い給与が得られる職場もあります。特に美容クリニックはインセンティブ制度を導入している施設が多く、売上に応じた歩合給が上乗せされるケースもあります。ただし、夜勤手当がない分、総支給額は下がる場合が多いです。日勤のみの職場でも、基本給が高めに設定されている施設を選べば、夜勤ありの職場と大きく変わらない収入を得られることもあります。
Q. 夜勤手当の相場は地域で違いますか?
はい、都市部のほうが高い傾向にあります。ただし、地方でも人手不足の深刻な病院では高めの設定になっていることがあります。地域差はおおむね1,000円〜3,000円程度ですが、同じ地域内でも施設間の差のほうが大きいこともあります。地方の病院でも、夜勤手当が都市部並みに設定されているところはあるため、地域にとらわれず幅広く求人を探すことをおすすめします。
Q. 夜勤手当は交渉で上がることがある?
入職時の交渉で夜勤手当が上乗せされるケースは稀ですが、基本給を交渉することでボーナスや夜勤手当のベースが上がる可能性はあります。転職エージェントを通じて交渉すると、自分では言い出しにくい条件交渉もスムーズに進むことが多いです。

夜勤手当と年収の関係
夜勤手当が看護師の年収に与える影響は想像以上に大きいです。夜勤手当だけで年間50万円〜70万円の収入になるため、夜勤なしの職場に転職すると、その分がまるまる減収になります。
たとえば、夜勤ありで年収480万円の看護師が日勤のみの職場に転職した場合、年収が400万円〜420万円程度にダウンするケースも珍しくありません。夜勤を辞めたいと考えている場合は、収入面の変化を事前にシミュレーションしておくことが重要です。
ただし、年収だけで判断するのは禁物です。夜勤による体調不良が改善されたり、プライベートの時間が増えたりすることで、生活の質(QOL)が大幅に向上するという声も多く聞かれます。時給換算で比較すると、夜勤ありの看護師と日勤のみの看護師で大差がないケースもあるため、総合的に判断しましょう。
夜勤手当に関する豆知識
夜勤手当は法律で金額が決まっている?
法律で決められているのは「深夜割増賃金(25%以上の割増)」のみであり、病院が独自に設定する夜勤手当の金額に法的な決まりはありません。つまり、夜勤手当の金額は病院ごとに自由に設定できるのです。だからこそ、施設間で大きな差が生まれるわけです。
夜勤手当の明細はしっかり確認を
給与明細で、法定の深夜割増分と病院独自の夜勤手当がきちんと分けて記載されているか確認しましょう。法定の深夜割増分が支払われていない場合は、労働基準法違反の可能性があります。不明な点があれば、総務部門に確認するか、労働基準監督署に相談することもできます。

まとめ
看護師の夜勤手当は、二交代制で1回あたり約11,286円、三交代制では準夜勤約4,154円・深夜勤約5,490円が平均的な相場です。月額で見ると二交代制のほうが約6,500円多く、効率よく稼ぎたい方には二交代制が有利です。ただし、体力面や生活スタイルとの相性も考慮して選ぶことが大切です。夜勤手当は看護師の年収の約10〜15%を占める重要な要素であるため、転職や勤務形態の変更を検討する際には、手当の金額だけでなく回数や職場環境も含めて総合的に判断しましょう。
夜勤手当に関する最新のデータは、日本看護協会の「病院看護実態調査」で毎年公表されています。転職を検討する際は、レバウェル看護や看護roo!などの転職サイトで詳細な条件を比較してみてください。


